大阪府貝塚市:3つのホールを持つコスモスシアター コラム『日本の第九』

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ディレクターこらむ  2018/10/04

日本の「第九」


西川 修助

西川 修助

コスモスシアターアートディレクター/一般財団法人貝塚市文化振興事業団 理事長

世界で日本ほど「第九」が演奏される国はありません。 日本の人はクラシックにあまり関心のない人でも「歓喜の歌」のメロディーを知っています。
しかし、本場のドイツでもそれほど知られていません。ましてフランスやイタリアでは、まず演奏される事もありません。 これは「第九」に人気が無いわけではなく、曲の内容から演奏する機会がどうしても少なくなるからです。

Osaka Shion Wind Orchestra
じゃあ日本では演奏の機会が多いのかと言うと、そうではないと思います。では何故こんなにポピュラーなのか? 
まずひとつは私達日本人にとって西洋音楽はよそから来た文化ですので感覚では理解しにくく、どうしても理屈で考えようとします。 それが日本人をベートーヴェン好きにさせ、さらにそのなかでもシラーの「歓喜によせて」の詩が付いた「四楽章」に感激するわけです。
そしてこの「歓喜の歌」のメロディーは「レ・ミ・ファ・ラ・シ」で出来ていて(普通、西洋音楽はドレミファソラシドで出来ていますが、 その中のド・ソが抜けた五音階で出来ています)、その上曲は4拍子で出来ているのですが「よいとまけ」のように労働歌的に2拍子で歌えてしまうのです。 これがカラオケかアルコールでも入らない限り、滅多に人前で歌うことが出来ない我々日本人にも、なにかDNAに響くものがあり、 参加したくなってしまうようです。
ですが、参加し歌っている人でも第四楽章まできて「ああ、これ第九、第九!」という事があります。 残念ながら日本の第九は「第四楽章だけ」なんです。大正7年6月1日に徳島の板東収容所で行われた日本での初演に先立つ1年前、 大正6年6月10日に第四楽章のみ、収容所合唱団で歌われています。 この第四楽章「合唱」先行というのは以後の日本の「第九」の歴史を象徴している様で面白いと思います。

さてコスモスシアターでは今年も「第九」をフル編成でお送りします。
一楽章の重厚さ、二楽章の明るさ、三楽章の崇高なまでの美しさ、そしてそれを経て終楽章へ…ベートーヴェンの哲学そのもの、 努力し前進し苦しみ、それを通して歓喜に向かう。

泉州の子供達と学生の若い歌声、ソロに日本のトップバリトン、三原剛氏にも出演をお願いしました。マエストロ大友直人の下、 どんな「第九」が出来上がるのか、今年も演奏に参加する私もワクワクしています。

▶ベートーベン「交響曲第九番」演奏会 詳細

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